記録される人生

人生が記録されていきます。

不機嫌なお客さん

長年接客業に携わっていると、いろいろな人に出会うので、人に対する耐性のようなものができてきて、ある程度のことでは動じなくなる。

とはいっても、常に平常心で対応できるかというとそんなことはなくて、やっぱり気分の下がってしまうこともたまにはあるのだ。

 

不機嫌な人の相手をするのもそうで、ちょっと面倒だなと思う。

ただ単にむすっとしていたり、無愛想なだけなら別に良いのだけれど、あからさまに不機嫌オーラを出してくる人もいるのだ。

こういう人に出会うとこちらもちょっと構えずにはいられない。態度も悪く、言葉の端々にもトゲが感じられて、そりゃあ失礼でしょうという言動をする人もまれにいる。

こういうぞんざいな扱いを受けると、こちらも人間なので、「そういう態度なら、こちらも適当に対応してやりたい!」と素の自分が思うのだけれど、残念ながら立場上そんなこともできない。

そんな心の声を抑えて、淡々といつも通りに接客するのみだ。相手の勢いにひるんで、弱気になったりおどおどしたりしてはいけないので、いつもより声量を上げて、平然とした態度を貫く。しかしながら終わった後には嫌な気分がちょっと溜まってしまう。

 

こういう人というのは、たまたま虫の居所が悪かったのか知らないけれど、接客する側も同じく感情を持った人間であり、対等な立場であるということを忘れてるんだろうなと思う。

何か嫌なことでもあったのなら、それを人にぶつけるのではなくて、自分で処理すればいいのになと、知らず知らずのうちにため息が出てくるのだ。

 

接客業というのは、ストレスになることもあるけれど、その経験があるおかげで良かった面もあって、それは、同じ業種に携わる人の気持ちが理解できるということだ。

接客の大変な部分を身をもって実感しているので、お店の人などに優しい気持ちで接することができるようになる。

 

感情労働」という言葉があるけれど、人と接する仕事は、常に自分の感情のコントロールが求められるので、状況次第で精神的に消耗してしまうこともある。

多分周りで接客をしている人も、表面上はそう見せないだけで、嫌なこともあれば疲れて休みたいときもあるはずだ。でもそれを見せずにずっと対応しているのだから、それを思うと優しい気持ちで接さずにはいられない。